サステナビリティ

「私たちのエコロジー」展に行ってきた!森美術館開館20周年記念展【レポート】

みなさんこんにちは、みなみです。

今回は「環境危機に現代アートはどう向き合うのか?」というコンセプトで開催されている「私たちのエコロジー」展に行ってきて、大変良かったのでレポートを書きたいと思います。

結構大きい展示だったので、内容はかなりボリューミーです。1時間で余裕で見れると思ったら私は若干駆け足で1時間ちょっとでした。

ネタバレが嫌な方は、ぜひ展示を見に行った後に本記事を読んでくださいね。

それではどうぞ!

エントランスが近未来的


森美術館、さすが都内の六本木ど真ん中にあります。エントランスから近未来的でした。

ほかにも同時開催中のイベントが私が行った時には2つありました。

こちらの展示を見たついでに何かほかの展示会も見ることができるのは、お得ですよね!

「MAMコレクション017:さわひらき」「MAMスクリーン018:カラビン・フィルム・コレクティブ」「MAMプロジェクト031:地主麻衣子」にも入館可となっています。

ちなみに、本チケットを持って六本木ヒルズの同建物下層階にあるレストランに行くと、割引を多少してくれるらしいです。今回初めて知りました。(利用しなかったけど、今度利用したい!)

お客さんは外国籍の方多め


客層は場所柄、六本木だからなのかわかりませんが、外国籍(特に欧米系)の方が多かったです。
パーリーにいくついでに立ち寄ってくれたのかもしれません(何目線)

もはや、日本人のほうがマイノリティでした。なんででしょう。

日本国内のものを使ったものから、世界中の作品まで展示が見られるような展示でしたので、インターナショナルな展示です!

章構成

本展示会は全部で4の章で構成されています。

第1章「全ては繋がっている」では、環境や生態系と人間の活動が複雑に絡み合う現実に言及します。第2章「土に還る」では、1950~80年代の高度経済成長の裏で、環境汚染が問題となった日本で制作・発表されたアートを再検証し、環境問題を日本という立ち位置から見つめ直します。第3章「大いなる加速」では、人類による過度な地球資源の開発の影響を明らかにすると同時に、ある種の「希望」も提示する作品を紹介します。最終章である第4章「未来は私たちの中にある」では、アクティビズム、先住民の叡智、フェミニズム、AIや集合知(CI)、精神性(スピリチュアリティ)などさまざまな表現にみられる、最先端のテクノロジーと古来の技術の双方の考察をとおして、未来の可能性を描きます。

公式サイトより https://www.mori.art.museum/jp/exhibitions/eco/

公式より抜粋

アートの大切さは伝え方のヒントとしてあり


アートというと、心ない人はもしかしたら「そんなの必要ではない」というかもしれません。

たとえば、伝え方の点で特に個人的に印象的だったアートはこちらのモニラ・アルカディリ「恨み言」(2023)という作品。

環境危機や、人々が環境に配慮せず破壊や消耗を続けてきた結果、被害者として犠牲になった家族が居たり、なくしたものがあったりする方は日本にいるとあまり実感ないかもしれませんが、じつはたくさんいるのです。

日本でも環境由来のイタイイタイ病などは有名ですが、もはや歴史の一部といった感覚が強い方がほとんどなのではないでしょうか。

そういった被害者の「声」が、これらの球体に近づくと聞こえてきます。

これは本当に面白いコンセプトだなと思いました!駅なんかの通路にこんなものがあったらインパクト強くてぜひ聞き入ってしまいそう。実社会にも実装できそうなアートで、おもしろかったです。

貝殻は自然に帰らないのか

こちらは近くで見てみると・・・実はただの床ではなく、ホタテの貝殻でできた床になっています。

素人には想像できないのですがここにはなんと5トンもの貝殻が敷き詰められているそう。

そして、さらに驚きなのはこれらの貝殻は北海道で全部とれたホタテのようです。

私たちが日々喜々として食べているホタテは、実は養殖されると廃棄物として貝殻ができて、それを自然に返すには何年もかかって大変なんだよというメッセージです。

上を踏んで歩くと砂浜にいるような気持のいい音がするので個人的には実際の道でもこういう部分が増えたら面白そうと思う。

こういう感覚的なアートも面白いですね。

こちらは、ニナ・カネル(Nina Canell)の「マッスル・メモリー(5トン)」(2023)です。

貝殻の上を歩くの、普通にヒーリング効果があるような気がするので、もっと生活の身近にあるといいなぁ。

気候変動というよりは環境全般

本展示は気候変動というよりは環境全般の展示なので、環境汚染の話も幅広くありました。あくまでローカルレベルから国レベルまでの環境について主に取り上げられていたと思います。

上記の写真は森林法、下水道法など、日本の環境関連の法制定とその制定がなされる時代背景の出来事などを年表にまとめられたものでした。一

1960年までは日本は汚い国と言われてたのが衝撃

1960年までは日本は汚い国と言われてたのが衝撃です。日本もやればできるということがわかりました。

映像美もすごい

映像美もすごいです。

本展示には様々な歴史的ストライキや活動の歴史的映像からアートとして自然物をとらえる映像、人間と環境とのかかわりに関する映像など、さまざまなものを堪能することができました。

とくに個人的には炎のやつすごい。まんまと官能的な炎にやられました。

個人的には、ラテンアメリカ出身のアーティストもいくつか展示があったことです。

このチリのピノチェト独裁政権のときにニューヨークに逃げたアーティストの[Cecilia Vicuña]作品があった時、「おお」となりました!

こちらはちなみにチリのお隣の国ペルーのみなさん大好きインカ帝国の時に使われていた「キープ」という手法を持って数字を数えていたころを思い出させるような展示です。

我々は常に最新のものが一番いいととらえがちですが、そんなことはなく、過去にも素晴らしい手法や表現なんかはたくさんあるのですよ、歴史を忘れるべきではないですね、というのを再度思い出しました。

ちなみにチリについて書いている記事はほかにもこちらにあります。

本店時はちなみに廊下は塗装されていませんでした。

こちらは、不要なデコレーションをエコロジーの展示に合わせてなくしたという試みのようです。

個人的には、テーマや雰囲気にもよりますがこれでも全然ほかの展示の雰囲気とは隔離されてないと感じました。

環境の展示はとにかく「自然」な状態でいること(人間が手を入れ込む前の本来の姿)が前提だからかもしれませんね。

しかしながら同時に、アートはケチるのは最後でいいのかなとも思ったりします(それより、まずは大きい割合を占めている日常のエネルギー関連等を中心に対策対応すべきと感じます)

この取り組みはもちろん素晴らしいですが、だからといってほかの既に手を作りこんだアートを非難したいというわけではございません。どちらも素晴らしいと思います。

インパクトの大きい作品だらけ

すでに事例をいくつかご紹介していますが、本展示は様々な角度からのアートとエコロジーを訴えるための手法が用意されていて、見る側としても新しい発想を得られること間違いなしです。

新しい知識を得られる展示ばかり

本展示には「エコフェミニズム」という言葉が意外と多く使われていて、個人的にはそれが印象的でした。

(エコロジーとフェミニズムの概念を掛け合わせた思想や社会・経済活動のこと。 人間による自然の搾取が引き起こす環境破壊と、男性優位の社会の中で女性を取り巻く不平等の根本の構造は同じで、この価値観をオルタナティブなものに変えていかなければどちらの問題も解決しないという考え方に基づいているとのこと。ーIDEAS FOR GOODより

アグネス・デネスは「小麦畑―対立:バッテリー・パーク埋立地、ダウンタウン・マンハッタン」というタイトルで1982年にニューヨークのマンハッタン島南部の埋立地を麦畑に変化させました。

こちらの込められたメッセージとしては、開発主義へ疑問を呈し、地球温暖化と経済格差への抗議を象徴すること。

これは資産があるこそできることとはいえ、大胆な啓もうだと思いませんか?

スケールがすごくて、個人的に感動したポイントです!

お土産も充実

展示もアートなものがたくさんあります。やはり環境関連ということでリサイクル系のアーティストが多かったかなと思います。

個人的にはおしゃれな海外段ボールのリサイクルで作られた財布がいいなとおもいました。

音声ガイドは混雑しているときにお勧め

音声ガイドは人が多くて説明見れない時にいいいです。

それ以外は正直あまり要らないかも?説明は日英でボードに書いてあるので、人が少ない平日夜などは問題ないと思います。

おわりに


いかがでしたでしょうか。
森美術館はあまり行かない方はいかないかもしれませんが、都会の雰囲気を味わいつつ一度はこの機会に訪れてみてはいかがでしょうか?

冒頭にも触れた通り、六本木ヒルズタワー内にある本展示会は、最新のテクノロジーを使った近未来的な設備でさまざまな新しい体験もできるとおもいます。

展示会情報

森美術館開館20周年記念展: 私たちのエコロジー

地球という惑星を生きるために

開催期間:2023年10月18日(水)-2024年3月31日(日)

Mori Art Museum 20th Anniversary Exhibition
Our Ecology: Toward a Planetary Living

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