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衛星で環境の観測!具体的な対象と関連衛星たち【リモートセンシング】

みなさんこんにちは。

皆さん、衛星は電波のためだけにあるだけではなく、地球の自然に関する測定もできるものがあるってご存じでしょうか?

実はNASA、JAXAをはじめとして、世界には様々な衛星と、それに関するミッション(いわゆるプロジェクト)があるんです。

しかも、パソコンさえあれば個人でも観測データを見ることができちゃうんです。研究者である必要はありません。

本記事では、本記事執筆時点で把握できた衛星たちを国内、国外含めてご紹介いたします!

リモートセンシング技術は、地球観測衛星によって収集されたデータを活用することができます。この技術は、地図作成、都市計画、農業、災害状況把握など、様々な分野で活用されています。 

例えば、

農業: 地球観測衛星の観測データを利用して、農作物の生育状況を把握し、適切な栽培管理を行ったり、

都市計画: 都市の拡大や建物の建設状況を把握し、都市計画に役立てることができたり、

災害状況把握: 災害発生時の被害状況を把握し、迅速な救援活動を行う

ことができます。

それでは、どうぞ。

そもそも衛星は3種類ある

衛星はさまざまな目的に応じて分類されますが、一般的には次のような3つの主要な種類に分けることができます:

観測衛星(資源探査衛星):

資源探査や地球観測、気象観測などの目的で使用される衛星です。これらの衛星は地球の大気や地表面を観測し、画像やデータを収集します。地球の環境や天候、地形などを調査するために利用されます。

通信衛星:

通信衛星は主に通信や放送などの目的で使用されます。これらの衛星は地球上の通信ネットワークと連携し、電話やインターネット、テレビ放送などの通信を可能にします。情報の送受信を地球上の広範囲な範囲で提供します。

ナビゲーション衛星:

この種類の衛星は主に位置情報やタイミングの提供に使用されます。GPSやGLONASSなどのシステムは、ナビゲーション衛星を使用して地球上の位置情報を提供します。これは航空、航海、自動車、測量などの分野で利用されています。

これらの衛星はそれぞれ異なる目的に使用され、人類の多くの側面に影響を与える広範な活動に寄与しています。

その中でも、本記事では一番最初の観測衛星に注目していきます。

なぜ空から観察なのか

空から 観察することにはいくつかの利点があります。

広範囲の観測:

 衛星は高い位置から広範囲の地球表面を観測できます。これにより、広大な地域を効率的にカバーし、同時に複数の地域を監視できます。

アクセスの容易さ: 

地上からのアクセスが難しい、遠隔地や厳しい自然環境においても観測できます。例えば、山岳地帯や熱帯雨林など。

定期的な観測: 

衛星は定期的に同じ地域を観測できます。これにより、季節変動や長期的な変化を追跡することができます。

一貫性のあるデータ: 

衛星は一定の観測条件でデータを収集します。これにより、一貫性のあるデータセットを得ることができます。

多波長の観測:

 衛星は可視光から赤外線、マイクロ波まで幅広い波長の電磁波を捉えることができます。それにより、地表や大気の特定の特性を捉えることが可能です。

リアルタイムの情報提供: 

衛星からのデータはリアルタイムまたは近い時間で提供されるため、災害監視や緊急対応などの迅速な情報提供に役立ちます。

空からの観測は、地球全体の様々な領域にわたる情報を得るための効果的な手段であり、環境モニタリングや地球観測の重要な方法の一つです。

デメリット

リモートセンシング技術は、広範囲の自然資源を効率的に調査・分析できる強力なツールですが、いくつかのデメリットも存在します。以下、他の手法との比較も踏まえながら、リモートセンシング技術のデメリットを詳しく説明します。

 データの制約

  • 天候の影響: 雲や雨などの天候の影響を受け、データ取得が制限される場合があります。特に光学センサーは天候に弱く、曇天や雨天では十分なデータを取得できない可能性があります。
  • データ量: リモートセンシングで取得されるデータ量は膨大で、処理や分析に時間がかかる場合があります。特に広範囲のデータを解析する場合は、高性能なコンピュータシステムが必要となります。

解釈の難易度

  • 専門知識の必要性: リモートセンシング画像を正しく解釈するには、画像処理や地理情報システム (GIS) に関する専門知識が必要となります。
  • 曖昧さの存在: リモートセンシング画像は、必ずしも対象物の状態を直接的に表しているわけではありません。画像を解釈するには、現場調査や他のデータとの比較検討が必要となります。
  • 情報の不完全性: リモートセンシング技術は、対象物の表面情報しか取得できない場合があります。地下にある資源や、内部構造を把握するには、他の調査方法と組み合わせる必要があります。たとえば、地下水など地上では目に見えないものです。

コスト

  • センサーの費用: 高性能なセンサーは高価で、導入や維持に多額の費用がかかります。自力では今のところなかなか飛ばせないので、すでにある衛星から情報を得るだけとなります

倫理的な問題

  • プライバシー侵害: リモートセンシング技術は、個人を特定できるような高解像度の画像を取得することも可能です。そのため、プライバシー侵害の懸念があります。
  • 軍事利用: リモートセンシング技術は、軍事目的にも利用される可能性があります。軍事利用への規制や倫理的な議論が必要となります。

衛星リモートセンシングの簡単な仕組み

地球の環境関連観測を行う衛星リモートセンシングは、地球上の対象物や環境を衛星からのセンサーを使って観測する技術です。その仕組みは衛星の機種によっても異なりますが、まとめると次のようになります:

センサー: 

衛星に搭載されたセンサーが地球表面からの電磁波を受信します。これには可視光、赤外線、マイクロ波などの様々な波長が含まれます。

このセンサーの種類によって、受け取れるデータが変わってきますので、結果的にデータとして取れる環境関連の項目も変わってきます。

放射の反射と吸収:

 地球の表面や大気、植生などの対象物は受信された電磁波を反射または吸収します。これにより、異なる波長の特性が現れます。

受信と記録: 

衛星のセンサーが反射された電磁波を受信し、それを記録します。各波長の電磁波の量や特性によって、対象物の情報を含んだデータが得られます。

ここまでが、衛星機器自体が行う作業となります。

下記は、様々な専門機関が行うことです。

データ処理と画像生成:

 受信したデータは地上の局やセンターに送信され、処理されます。これにより、画像や地図などの視覚的な情報が生成されます。

解析と応用: 

生成されたデータや画像は環境研究、天候予測、農業管理、都市計画などのさまざまな分野で解析され、活用されます。これにより、地球観測や環境保全に役立つ情報が得られます。

このように、衛星リモートセンシングは地球観測や環境モニタリングにおいて、広範囲で貴重なデータを提供する重要な技術です。

上記の「解析と応用」の部分は、現代はもはや専門組織に所属していなくとも情報インフラが多く無料になってきているおかげで誰でもできるようになってきていますね。

詳しくは、一番最後の部分で記載します。

環境資源調査で注目すべき点

環境資源の調査においては、「どのような条件で」そのデータが取得されたか、ということもデータの特徴や原因を理解するために重要です。どこに注目するかわかっていないと何を見て判断すればいいかわかりませんからね。

みなさん、専門家らは何に注目しているのでしょうか?

衛星データを使用して水資源や環境資源を確認する際には、以下のような特徴に注目することが重要です:

分光解像度:

 可視、赤外線、マイクロ波などの広いスペクトルをカバーし、水や土地の特定の特性を捉える能力。

空間解像度: 

地表の細部を高い解像度で捉えられるかどうか。水源や降水量の分布など、細かな地形の特徴を把握するために必要。

再観測性: 

同じ地域を短期間で何度も観測できる頻度。季節変動や長期的な変化を把握するために必要。

放射補正能力: 

大気の影響を補正し、正確なデータを提供できるかどうか。特に水の反射率や吸収率を正確に計測するために重要。

データの利用可能性:

 公開されているデータやアクセス方法、解析ツールの提供など、利用者がデータを容易に利用できるかどうか。

時間分解能: 

変化の速さや周期性を捉えるための能力。急速な環境変化や季節変動を捉えるために時間的な分解能が重要。

データの信頼性と精度: 

観測データの信頼性や精度は、環境研究や政策立案において不可欠。信頼性の高いデータが得られるかどうかを確認する必要があります。

衛星データは一度衛星が何かしらの原因で飛んでる最中に故障するとデータが取れなくなるということが起きるのがデメリットですが、とる状況としては

多角的な観測手法の統合: 

衛星データだけでなく、地上観測やモデルシミュレーションなど、複数の手法を組み合わせることでより包括的な情報を得られます。

衛星データは2時活用としても非常に汎用性があり、かつ民主的なデータとしてとても評価が高いです。

観測データを適切に解釈し、環境問題の理解や解決策の提案に繋げるための能力。データが持つ情報を実際の課題にどのように活かすかが重要となります。

これらの力で、総合的な理解やデータの活用に役立つでしょう。

環境観測で図れる項目

センサーベルで取得できるデータは大体下記のイメージです

センサーの種類電磁波の種類取得できるデータ備考
光学センサー可視光地表の形状、土地利用、植生
赤外線センサー赤外線地表の温度、雲量、大気汚染
マイクロ波センサーマイクロ波地表の形状、森林の状態、海面の高さ雲や雨の影響を受けない
合成開口レーダー (SAR)マイクロ波地表の形状、森林の状態、地殻変動
高度計マイクロ波地表の標高
散乱計マイクロ波風速、風向
大気質センサー紫外線、可視光、赤外線大気中のオゾン、二酸化窒素、二酸化硫黄などの濃度

具体的な観測衛星

CO2観察:いぶき

メタンの全大気平均濃度の2021年の年増加量が2011年以降で最大になったことも発見しました!

国立環境研究所・環境省が宇宙航空研究開発機構と共同で運用中の温室効果ガス観測技術衛星GOSAT(「いぶき」)の観測データより、メタンの全大気平均濃度の2021年の年増加量が観測開始以降で最大になったことが分かりました。

近年のメタン濃度上昇の原因はまだ明らかになっていませんが、このような濃度上昇をもたらす要因が、将来のメタン濃度の予測やパリ協定に基づく各国の排出削減施策の実施状況の確認などにおいて、大きな問題となる可能性があります。

森林観察

森林観察も、もちろん環境状態の把握に役立ちます。

具体的に見るものは、森林の減少度合いなどですね。

海洋研究:GRACE

アメリカのNASAとドイツのDLRが2002年に打ち上げた地球観測衛星です。2機の衛星が地球の重力場の変化を測定し、地下水や氷床、海水の量や動きを調べました。資源探査においては、地下水の枯渇や汚染の状況を把握することができました。

水資源観察

こちらについては、個人的に特に関心も高く、別途記事でまとめます。いろいろありますので見てみてくださいね。

そのほかにも、見れるものはたくさん

上記で紹介したのは地球環境のほんの一部の観察事例です。

本来地球観察用に打ち上げていない衛星も、使いようによっては地球観察用に使えるケースもあるんですよね!いろいろ論文を調べてみると面白いかもしれません。

そのほか、下記に地球環境におけるリモートセンシングデータを見られるページをご紹介します(グローバル・日本企業)

  • 千葉大学環境リモートセンシング研究センター(CEReS)は、国立大学法人の環境リモートセンシング分野の共同利用・共同研究拠点として、地球観測衛星のデータを収集・分析・提供しています。千葉大学環境リモートセンシング研究センターでは、研究成果や最新のニュースレターなどを閲覧できます。
  • 国立環境研究所は、環境問題の解決に向けて、リモートセンシング技術の開発や応用を行っています。環境展望台では、リモートセンシングの原理や種類、利用例などを解説しています。また、衛星リモートセンシングを用いた全球およびオーストラリアの都市上空でのCO2観測データの統計解析という研究成果も公開されています。
  • 日本気象衛星センター(JMSC)は、気象庁が運用する気象衛星のデータを受信・処理・配信しています。JMSCのホームページでは、気象衛星の概要や観測データの閲覧や申請方法などを確認できます。また、JMSCのデータベースでは、気象衛星の画像や数値データを検索・ダウンロードできます。
  • リモートセンシング技術研究組合(RESTEC)は、宇宙開発事業団(NASDA)の後継機関として、宇宙からの地球観測に関する研究開発や普及啓発を行っています。RESTECのホームページでは、リモートセンシングの基礎知識や活用事例、教育・研修プログラムなどを紹介しています。また、[RESTECのデータサービス]では、衛星データの購入や利用方法などを案内しています。

実際にGoogle Earth Engineを使って衛星データをみよう

Google Earth Engineを使うと、(一定の範囲まで)無料で誰でも衛星画像の分析・可視化ができます!

最初は見慣れないものばかりで難しいと感じるかもしれませんが、それは最初のうちだけ。ずっと触っていると、すこしずつわかってくるようになってくると思います。

詳しい使い方はYoutubeや他の技術的なプロの方がたくさん情報を出しているのでそちらを探してみてください!

おわりに

以上のように、地球の資源探索を可能にする衛星たちは、地球の様々な側面を観測し、貴重な情報を提供しています。これらの情報は、資源の有効活用や保全に役立てられるとともに、地球環境の変化や問題に対する理解や対策にも貢献しています。

ほかの自然資源に関する記事についてはこちらよりご確認ください!

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